梅村床材店(床板を削る)
「とこざいや」という職人さんを知っていますか?
床板や式台、天板等どんな板でも持ち込めば鉋(かんな)仕事ツヤツヤに仕上げてくれる職人技です。
私も初めて知った専門職ですが、機械カンナが進歩する以前は、堀川端に並んだ木材屋からの依頼で本当に忙しかったそうです。
和室の減少にも共ない今では名古屋市内に2,3人 ご多分に漏れず後継者もいないそうです。
せっかく床の間を整えても床板のほとんどは合板に0.2ミリほどの天然木薄板を練り付けた化粧合板になってしまいました。
無垢板に比べると圧倒的に安価なので仕方の無いことです。
今回は無垢板を使う機会に恵まれ、その仕上げを梅村さんにお願いすることになりました。
こちらで用意し持ち込んだ3cmほどの板の裏に反り止めを施した上で、表面を様々な鉋を駆使して仕上げていきます。
定木を当てながら少し削っては刃を調整し、少し削っては水場で刃を研いでの繰り返し、
実際に削っている時間は全体の1/3ほどで準備の時間が2/3とは、なるほどの職人技です。
今では無垢板でも電気カンナの一種プレーナーで仕上げるのが一般的です。
刃を回転させて削るので手掛けのカンナとは違いますが普通にきれいに仕上がります。
しかしそれではいわゆる「超仕上げ」にはならず、やはり職人の鉋掛けでないと超光沢面は得らません。
定木と寸分の狂いもなく見事に仕上がっていきます。
床框の無いすっきりした床が出来上がりました。