30年も建築・住宅の仕事をしているのに
初めて出会った職人さんが「床材屋さん」です。
床板(とこいた)や式台やテーブル天板など板なら何でも鉋で削り仕上げる仕事です。
最近の板の仕上げといえばベルトサンダーでペーパー仕上げがほとんど全てですが
ペーパーでこすっては板の目を潰していまい、本来の美しい板目が浮き出てこないのです。
今回は厚み40mmのケヤキ床板を二枚お願いしました
仕事振りは15分ほどの鉋掛けをしては、すぐ流しに移って鉋の刃を研ぐ作業の
繰り返しで、刃研ぎに費やす時間の方が長いのには驚きと納得、
職人技とは こういうものなのでしょう。
仕事を見ていると アッという間に時間が経っていました。
砥石もこだわったものだそうです
幅60cm長さ180cmの板を削るのに3万円ほど必要ですが、反り止めに裏桟を仕込み長年の仕様に備える仕事は丁寧で、もちろんその出来栄えは光るように美しいものでした。
しかも年数が経てば経つほど板目が浮き出てその違いがはっきりするそうです。
年々の注文減少と共に職人の数も名古屋ではもう二人になり、後継者もいないとのこと。
ここにも寂しい「ものづくり日本」の現実があります。
坂本 悠
一級建築士事務所 株式会社 有理社
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