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宅地を診断すること

2017年07月31日

「宅地を購入するのですが 候補地の診断をしてほしい」

 

3か所の候補地を決めかねているとので、住宅を建てる前提で評価してほしいとのことでした。

「容積率や建蔽率は解りますが 本当にイメージどおりの住まいが出来るのか不安です

何しろ一生に一度の大きな買い物なのです」 

 

週末に依頼者と一緒に巡ってきました。

〇最初の敷地

1980年代に開発された典型的な郊外の団地ですが、世代交代でけっこう空き地があるようです。

北西前面道路で間口14m奥行24m 100坪以上ありますが、価格は想像していた以上に安い敷地です

道路から並列に5台駐車して家を建てても奥行10m以上の庭が可能ですが、その部分が南へ3mほど斜面で下がっています。

敷地全体を平らにするには擁壁を造り埋め土をすることになります。 当然費用が掛かるのでそれが価格の安い理由です。

延べ面積150㎡ほどの2階建てが希望ですが、間口のある長方形、敷地形状が良いので計画はし易いと思われますが

「隣地住宅の景色が良くないので、もし建てるなら室内や庭を見えたり見られないようにしてほしい」依頼者の希望です。

庭を見られないようには・・・・・簡単ではなさそうです。

 

〇2番目の土地も同じ団地内にありました。

北西、北東の道路に面した角地、一辺約16mの正方形です。

東側に傾斜地で敷地は平地ですが東角から両2辺が擁壁になっています。

依頼者は擁壁への不安と、なにしろ草ぼうぼうで、ここに本当に家が建つのか特にイメージが湧かないようです。

T字路の突き当りなので道路標識や団地の防犯カメラが、駐車をし辛くしているので何らか解決する必要があります。

現在は隣地が空き地なので景色も良く採光も十分です。

しかし地型良いのに最初の土地とあまり価格が変わらないのが、擁壁と相まってなんとなく不安なようです。

正方形敷地での計画は結構難しいのですが、広さがあるので問題はなさそうです。

 

〇3番目の土地は住宅と小工業の混在地域、旧市街地だけに価格はダントツで高くなります。

現住まいや勤務先に近く生活環境があまり変わらないのが何より魅力です。

しかし土地代がかさむと当然ですが建築費用が少なくなり、これは大いに悩むところです。

間口3.5m奥行25mの通路先に9m×20mの旗状敷地で、解体すべき住宅が建っています。

縦列駐車も不便ですし、有効敷地が狭いので他の候補地に比べると計画はどうしても制限されますが

まあ狭いといっても50坪以上あるので、我々の日常では立派な敷地です。

隣地に作業所が境界いっぱいに建っていたり、籏地の通路部分が隣家と境無く使われているようで

隣地トラブルを生む可能性がありそうで・・・なによりの不安要素です。

 

一週間ほど時間をいただき、その間にごく簡単なプラントを配置して敷地の有効利用を確認します。

隣地に将来建つかもしれない建物の敷地への影響も、法的根拠で確認します。

擁壁や浄化槽の工事費を出したり、役所へ既存擁壁の安全確認などもして報告することになります。

 

今回のように決断する前に相談していただくことは本当に大事なことです。

思いがけない費用が想像以上に掛かったり、思い描いたように建てられなかったりすることは実際にあることです。

なるべく早い段階でぜひ専門家に相談してください。

時には欠点のある安い土地も、設計の発想次第でその欠点をカバーして快適な住まいに出来ることもあるのです。

 

坂本 悠

一級建築士設計事務所 株式会社 有理社

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