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四郷郷土資料館(旧三重郡四郷村役場)

2013年06月13日

四郷郷土資料館(旧三重郡四郷村役場)

四日市市有形文化財


構造設計を野田建築事務所にお願いしています
野田さんとは長い付き合いですが
「僕の祖父は三重県で最初の設計事務所開設した建築家だよ」と・・・
初めて知ってびっくりました。

 野田新作 野田建築事務所

しかもその野田新作さんの作品がまだ残っていると聞いたので
四日市市西日野町(当時の四郷村)までさっそく行ってきました。

四郷村はこれといった資源も無い小寒村であったが、幕末から近年にかけて製糸・製茶・醸造・それらの関連産業が盛んになり近代産業の発祥地として三重を代表する経済・文化栄える村で、これら産品の輸送のため四日市まで、村の有志により県内初の私鉄(内部、八王子線)が敷かれたほどで、全国でも珍しい特殊狭軌のミニ電車(軌道幅76・2センチ)のかわいい車両は存続の危機にあるものの今も通勤通学に利用されています。


四郷村役場は村の代表的な先人産業三重紡績(後の東洋紡績)の発足者伊藤傳七が郷土への恩返しにと、大正10年に6万円(現在の5億円?)の大金を寄付し建てられたものです。
四日市市西日野町 四郷村役場

小高い丘陵の坂道を登っていくとシンボルの塔が青空を背景にそびえ立ち その姿は凛々しく格好が良いです。


四日市市西日野町 四郷村役場

木造2階建ての正面に車寄せと玄関がありその様式的な柱が役場の威厳を
表現しています。

一階が執務室、2階が会議室や小部屋、モダンな応客用のカウンター等も当時のままで残っています。狭い螺旋階段をあがると四郷村が一望できる気持ちよさで、全国一の村役場と村民自慢の庁舎であったことがよく分かります。
昭和40年代までは市の四郷支所として使われ、新しい支所が出来たために閉所取り壊しの運命だったが地元民の存続運動で昭和57年四日市市有形文化財に指定され「四郷郷土資料館」として今日に至っています。
毎週土曜日が開館日で地元有志がボランティアで面倒を見ておられます。

四日市市西日野町 四郷村役場

野田新作さんを中心とする設計組織は 当事東洋紡のお抱え技師で、独立して事務所を開設した後も工場、社屋、学校、住宅など多くを手がけましたが残念ながら現存はしていません。資料館の展示物に隣地小学校の取り壊された講堂(野田新作代表作)の模型が残っていますが 五角形プランのとても不思議な建物でした。 

 

坂本 悠

一級建築士設計事務所 株式会社 有理社

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