いよいよキッチンが据え付けられます。
余談ですが我国のキッチンとトイレの歴史は
「台所」「便所」、「所」の文字が示すように住居の一部の場所として発達しました。
欧米では家具のように生活道具として発達したので、キッチンも引っ越し荷物と一緒に運び新居へ移設したようです。
昔は大した料理も作らなかったのでしょうね。
トイレもいわゆる「オマル」のようにベッドルームへ持ち運んでいたので
「マリーアントワネットの便器」なんて骨董品ががパリの蚤の市に出ていたことがあったそうです。
今回は特に車椅子対応などに特別対応せず、シンクと配膳台の下を開放し使い易い高さの収納に配慮した程度です。
ユニバーサルキッチン(車椅子や座って使う)は大手のキッチンメーカーならどこでも商品が用意されていますが
車椅子が入る足元空間、ワークトップと収納の高さ、取り付け手摺、水栓タイプが選べる程度です。
しかし当然ですが障害は一定ではありませんし、老いによる機能の低下も様々です。
大手メーカーではそれ以上の細かい対応は出来ませんし、残念ながらスタッフも一般的な知識しかありません。
しかもキッチンだけどうにかすれば良い問題でもなく、建築と相まって解決するのが本来です。
例えば長く立っているのが苦手な主婦のために ちょっと持たれることのできる細い柱一本を設けただけで解決したこともあります。
やはり設計者と共に考えた より安全で使い易すく、そして美しいキッチンライフが理想です。
なにしろ今や家族皆が使う 生活の中心となっています。
キッチンはワークトップ、その下の台になる箱、丁番・引き出しなどの金物、調理器具で構成されています。
金物と調理器具はそれぞれの専門メーカーからの調達、収納の箱は大工さんでも出来る仕事、ステンレスや樹脂製のワークトップも調達可能です。
それを組み合わせることで完成する 比較的簡単な製作物です。
メーカーはそれぞれ特徴を謳って主婦の心を誘いますが どれも機能に大差はありませんし 大工さんと作ったキッチンでも何の遜色もありません。
美しさの視点は違いますが素敵です。
そう考えると詳細に希望を実現してくれる 小規模のオーダーキッチンメーカーも悪くありません。
詳細な打ち合わせ等 少々面倒なことは多いですが 出来上がりは本物のマイキッチンです。
それぞれパーツの選択範囲は広く自由ですし、同じパーツなら価格も安くなります。
メンテも知識のある担当者が親切に対応してくれますし 保証も特別問題になることもありません。
すっかりオーダーキッチンの応援になってしまいましたが
なにしろ高額なもの・・・・いろいろな選択肢を持って実現してほしいですね。
坂本 悠
一級建築士設計事務所 株式会社 有理社
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